運用しやすいホームページを作るための設計と運用の鉄則【完全保存版】

運用しやすいホームページを作るための設計と運用の鉄則【完全保存版】

「ホームページを作ったものの、更新が完全に止まってしまった」

「ちょっとした修正を依頼するたびに、見積もりと時間がかかり疲弊している」

多くの中小企業のWeb担当者様から、このようなご相談をいただきます。Webサイトは、公開した瞬間がゴールではありません。むしろ、そこから始まる「運用」こそが、企業の利益を生み出す本番のフェーズです。

しかし、なぜ多くの企業で運用が頓挫してしまうのでしょうか?それは担当者のスキル不足や怠慢ではなく、そもそも「運用することを前提とした設計」になっていないことが最大の原因です。

本記事では、Web制作と運用のプロフェッショナルである私たちが、「運用しやすいWebサイト」の定義から、具体的な設計方法、効率的な更新フロー、そしてSEOとセキュリティを守る保守体制まで、現場の知見を余すことなく解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたの会社のWebサイトがなぜ成果を出せていないのか、その原因と解決策が明確になっているはずです。

目次

1. なぜ「運用しやすさ(Operability)」が企業の生命線なのか

Webサイトにおける「運用しやすさ」とは、単に「ブログが投稿できる」ということではありません。
「ビジネスの変化に合わせて、迅速かつ低コストでサイトを変化させられる状態」を指します。

「死んだサイト」がもたらす3つの経営リスク

最終更新日が数年前のお知らせ、崩れたレイアウト、スマートフォンで見づらいページ…。運用が止まった「死んだサイト」は、利益を生まないどころか、明確な「負債」となります。

信頼性の欠如(ブランディング毀損)

顧客があなたの会社を検索した際、情報が古ければ「この会社は活動しているのか?」「管理能力がないのではないか?」という疑念を抱きます。特にBtoB企業において、Webサイトの品質は企業の与信(信用力)に直結します。

機会損失(チャンスロス)の増大

新商品が出たのにページがない、キャンペーン情報が載っていない。これでは、せっかく広告やSNSで集客しても、Webサイトが受け皿になれず、みすみす顧客を競合他社へ流すことになります。

セキュリティリスクの増大

放置されたWebサイトは、ハッカーの格好の標的です。CMSやプラグインのアップデートを怠ると、サイトの改ざんや顧客情報の漏洩など、企業の存続に関わる重大な事故につながりかねません。

運用が回るサイトが生み出す「資産価値」

一方で、運用しやすい基盤が整っているサイトは、更新すればするほど「ドメインパワー」が向上し、検索順位が上がり、広告費をかけずに集客できる「資産」へと成長します。

運用コスト(人件費や外注費)を最小限に抑えながら、最大の成果(リード獲得、採用応募)を生み出す。このROI(投資対効果)の最大化こそが、運用しやすいサイトを作る真の目的です。

2. 成功の8割は準備で決まる!設計段階で組み込むべき5つの要件

「運用がうまくいかない」と悩む企業の多くは、制作段階での設計ミスが原因です。Webサイトが出来上がってから「ここを簡単に直したい」と言っても、手遅れな場合が多いのです。

ここでは、発注前やリニューアル計画時に絶対に押さえておくべき要件を解説します。

【CMS選定】WordPress一択ではない?自社に最適なシステムの選び方

CMS(コンテンツマネジメントシステム)は、Web運用の心臓部です。「有名だから」という理由だけでWordPressを選ぶのは危険です。自社の体制にフィットするものを選びましょう。

WordPress(ワードプレス)

  • メリット:世界シェアNo.1。プラグインが豊富で、SEO対策や機能拡張が自由自在。
  • デメリット:定期的な保守メンテナンス(アップデート)が必須。セキュリティ対策が必要。
  • 推奨:オウンドメディアを運用したい、将来的に機能を拡張したい企業向け。

SaaS型CMS(Wix, STUDIO, Shopifyなど)

  • メリット:サーバー管理やセキュリティ対策がベンダー任せで楽。直感的な操作が可能。
  • デメリット:機能制限があり、複雑なデータ連携や大規模サイトには不向き。
  • 推奨:専任の技術者がいない、小規模サイト、ECサイトをスモールスタートしたい企業向け。

ヘッドレスCMS(MicroCMSなど)

  • メリット:表示速度が極めて速く、セキュリティも堅牢。フロントエンドの技術選定が自由。
  • デメリット:構築には高い技術力が必要で、初期費用が高くなる傾向がある。
  • 推奨:アプリ連携が必要なサービスサイトや、超高速表示を求める大規模メディア向け。

【サイト構造】ユーザーとGoogleを迷わせない「ディレクトリ設計」の極意

「どこに何があるかわからない」サイトは、更新する側にとっても迷宮です。

情報は「カテゴリ(親)」と「ページ(子)」の関係を明確にする**「ロジカルな階層構造」**で整理する必要があります。

悪い例

全てのページがトップページ直下に並列している(フラットすぎる)。

良い例

  • トップ > サービス紹介 > サービスA
  • トップ > お役立ちコラム > カテゴリA > 記事ページ

このようにURL構造も含めて整理することで、Googleのクローラーはサイトの内容を理解しやすくなり、SEO効果が高まります。また、担当者も「新しい事例はこのフォルダに入れればいい」と直感的に判断できるようになります。

 

【UIデザイン】更新しても崩れない「コンポーネント指向」のデザイン

従来のデザイン手法では、ページ全体を1枚の絵としてデザインしていましたが、これでは一部の文章が変わるだけでレイアウトが崩れることがありました。

運用しやすいサイトでは「コンポーネント指向」(部品ごとの設計)を採用します。

  • 見出し(H2, H3)のデザイン

  • ボタンの形状と色(CTA)

  • 画像とテキストの配置パターン(右画像・左テキストなど)

  • Q&Aリストのデザイン

これらをあらかじめ「部品」として定義し、CSSで統一管理します。担当者は、CMSの管理画面でこれらの「部品」を選んでテキストを流し込むだけで、プロがデザインしたような美しいページを作成できます。これにより、デザインの統一性を保ちながら、スピーディーな更新が可能になります。

 

【拡張性】半年後のビジネス変化に耐えうる柔軟な仕様

ビジネスは生き物です。半年後には新しい事業部ができるかもしれませんし、採用活動を強化したくなるかもしれません。

設計段階で「固定ページ」としてガチガチに作り込むのではなく、「カスタム投稿タイプ」などを活用して、増える可能性があるコンテンツをあらかじめ「投稿機能」として切り出しておくことが重要です。

  • 「お知らせ」だけでなく「制作実績」「お客様の声」「スタッフ紹介」もCMSで更新できるようにする。

  • サイドバーやフッターのリンクも、管理画面から変更できるようにする。

 

【要件定義】「誰が・いつ・何を」更新するのかを言語化する

技術的な話以前に、運用体制の定義が曖昧だと必ず失敗します。

  • 更新担当者: Web専任か、総務との兼任か?(兼任なら、作業時間は週2時間しか取れないかもしれない)

  • 承認フロー: 記事作成から公開までに、上長の承認が必要か?

  • リテラシー: HTML/CSSの知識はあるか?

これらを制作会社と共有することで、「HTMLを知らない担当者でも、画像さえアップすればレイアウトが自動調整される管理画面」をオーダーメイドで作ることが可能になります。

3. 多忙な担当者を救う!コンテンツ作成・更新の「仕組み化」技術

「ネタがない」「書く時間がない」「文章力に自信がない」。これがWeb担当者の三大悩みです。

これらを解決するのは、根性ではなく「仕組み」です。

 

ゼロから書かない!「記事テンプレート」の活用で工数半減

毎回、真っ白な画面に向かって「さあ何を書こう」と考えていては時間がいくらあっても足りません。記事の種類ごとに「テンプレート(構成案)」を用意しましょう。

【事例紹介のテンプレート例】

  • クライアントの概要:業種、規模、地域
  • 抱えていた課題(Before):具体的な悩み
  • 提案した解決策:自社が何をしたか
  • 導入後の成果(After):数値で示せる改善点
  • 担当者からのコメント:お客様の声
  • 担当スタッフのコメント:苦労した点や工夫した点

このように「埋めるべき項目」が決まっていれば、ヒアリングシートを営業担当に渡して書いてもらうことも可能になります。思考の負担を減らすことが、継続の秘訣です。

継続の鍵は「現実的なコンテンツカレンダー」の作成

「毎日更新」という無謀な目標は捨ててください。質の低い記事を量産することは、今のSEOでは逆効果です。

「週に1本」や「月に2本」でも構いません。重要なのは「リズムを崩さないこと」です。

Googleスプレッドシートなどで「コンテンツカレンダー」を作成し、以下の項目を3ヶ月先まで埋めてみましょう。

  • 公開予定日

  • ターゲットキーワード(例:大阪 ホームページ制作)

  • 記事のテーマ・タイトル仮

  • 執筆担当者 / 監修者

  • 現在のステータス(構成案作成中・執筆中・確認中・公開済)

これにより、チーム全体で進捗が見える化され、「次は誰が書くんだっけ?」という不毛なやり取りがなくなります。

 

素材管理のルール化:画像や動画の「迷子」をなくす

 

運用が長く続くと、サーバー内には数千枚の画像ファイルが溜まります。「IMG_001.jpg」「main_new_final.jpg」といった適当なファイル名では、後から目的の画像を探すのに膨大な時間がかかります。

  • 命名規則: 日付_カテゴリ_内容.jpg (例:20241105_blog_seo-tools.jpg

  • Alt属性: 画像には必ず代替テキスト(Alt)を設定する。これはSEOだけでなく、画像管理上の検索性も高めます。

  • フォルダ分け: 年月ごと、あるいはカテゴリごとにフォルダを分けて管理する。


 

4. 検索エンジンに愛されるためのSEO運用戦略(E-E-A-T対応)

運用しやすいサイトができたら、次は「見られるサイト」にするためのSEO対策です。

現在は、単にキーワードを詰め込むだけのSEOは通用しません。Googleの評価基準であるE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識したコンテンツ運用が必要です。

 

キーワード選定の深掘り:検索意図(インサイト)の読み解き方

「キーワードプランナー」などのツールで見つけたキーワードを、そのまま使うだけでは不十分です。そのキーワードで検索するユーザーが「真に知りたいことは何か(検索意図)」を想像してください。

  • キーワード:「ホームページ制作 費用」

    • 表面的なニーズ: 相場を知りたい。

    • 潜在的なニーズ(インサイト): 「安く作りたいが、安すぎて失敗したくない」「見積もりの妥当性を判断したい」「追加料金を取られないか不安」。

このインサイトに対して、「制作会社だからこそ知る、見積もりの裏側」「追加料金が発生するよくあるケース」といった、**プロならではの視点(Experience/Expertise)**を含めた記事を書くことで、競合との差別化が可能になります。

SEOに強い記事構成案(プロット)の作り方

 

いきなり書き始めず、まずは見出し(H2, H3)だけで構成を作りましょう。

  1. タイトル: 32文字前後で、キーワードを左側に含める。

  2. 導入文: 読者の悩みに共感し、この記事で得られる解決策(結論)を最初に提示する。

  3. H2見出し: 本文の要約。見出しを見るだけで内容がわかるようにする。

  4. 本文: 結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)のPREP法で書く。

  5. まとめ: ネクストアクション(問い合わせや関連記事への誘導)を提示する。

この構成案の段階で、Googleで実際に検索し、上位表示されている競合サイトの内容と比較してください。「競合に書かれている情報」を網羅しつつ、「競合にはない自社独自の知見」を盛り込むことが上位表示の鉄則です。

Google評価を高める「内部リンク」と「リライト」の重要性

記事を書きっぱなしにしてはいけません。

関連する記事同士を内部リンクで繋ぐことで、Googleのクローラーがサイト内を巡回しやすくなり、サイト全体のテーマ性(トピッククラスター)が強化されます。

また、半年以上経過した記事は情報の鮮度が落ちています。

  • 古い情報を最新に書き換える。

  • Search Consoleを見て、想定外のキーワードで流入があれば、その内容を加筆する。

この「リライト」作業は、新規記事を作成するよりも低コストで、かつ即効性の高いSEO施策となります。

 

5. サイトを守り、攻めるための「保守・メンテナンス」の鉄則

運用には「守り」も必要です。特にWordPressのようなオープンソースCMSを使用する場合、保守管理は必須業務です。

セキュリティ対策:WAF、SSL、脆弱性診断の基礎知識

  • SSL(https化): 通信を暗号化する技術。これがないとブラウザに「保護されていない通信」と表示され、ユーザーの離脱を招きます。GoogleもSSL化をランキング要因としています。

  • WAF(Web Application Firewall): Webサイトへの攻撃を防ぐ盾のようなもの。多くのレンタルサーバーで無料で利用可能です。必ず「ON」にしましょう。

  • ログイン画面の保護: 「SiteGuard WP Plugin」などを使い、ログインURLを変更したり、画像認証を入れたりして、不正ログイン(ブルートフォース攻撃)を防ぎます。

「表示速度」はUXとSEOの要!Core Web Vitals対策

ページの読み込みが3秒以上かかると、53%のユーザーが離脱すると言われています。また、Googleは**Core Web Vitals(コアウェブバイタル)**という指標を用い、表示速度やレイアウトの安定性を評価しています。

  • 画像の軽量化: WebP形式などの次世代フォーマットを使用し、見た目を損なわずにファイルサイズを圧縮する。

  • キャッシュの活用: ブラウザキャッシュやサーバーキャッシュを適切に設定する。

  • 不要なコードの削除: 使っていないプラグインやJavaScriptは削除する。

これらは技術的な知識が必要な場合が多いため、制作会社に「PageSpeed Insightsのスコアを改善したい」と相談するのが良いでしょう。

バックアップの「3-2-1ルール」とは

データ消失は、サイバー攻撃だけでなく、担当者の操作ミスでも起こります。IT業界の鉄則である「3-2-1ルール」を意識しましょう。

  • 3つのデータを保持する(本データ + バックアップ2つ)

  • 2つの異なる媒体で保存する(サーバー内 + クラウドストレージなど)

  • 1つは遠隔地に保存する(物理的に離れた場所)

WordPressであれば、「BackWPup」や「UpdraftPlus」などのプラグインを使えば、定期的にDropboxやGoogleドライブへ自動バックアップを取ることが可能です。

6. データに基づき改善する:アクセス解析とPDCAサイクルの回し方

「何となくアクセスが増えた気がする」ではなく、数値に基づいて判断しましょう。

GA4とSearch Console:見るべき指標はたったこれだけ

管理画面には無数の数字が並んでいますが、中小企業のWeb運用で見るべきは以下の3つに絞られます。

  1. コンバージョン数(CV): お問い合わせ、資料請求、電話タップの数。これが最重要KPIです。

  2. 流入チャネル: ユーザーはどこから来たか?(Organic Search=検索、Social=SNS、Referral=他サイトからのリンク)。検索からの流入が増えていればSEOは順調です。

  3. 検索クエリ(Search Console): どんなキーワードで自社サイトが表示され、クリックされたか。「意図していなかったキーワード」での流入があれば、それは新しい顧客ニーズの発見(宝の山)です。

ヒートマップで見える「ユーザーの迷い」

数字だけでは分からないユーザーの心理を知るには、「Microsoft Clarity(無料)」や「User Heat」などのヒートマップツールが有効です。

  • 熟読エリア: 赤くなっている部分はよく読まれています。ここに重要なオファー(CTAボタン)を置きましょう。

  • 離脱エリア: ユーザーがどこで読むのを止めたかが分かります。そこで画像を入れたり、文章を短くしたりする改善が必要です。

A/Bテストでコンバージョン率(CVR)を最大化する

「お問い合わせボタンは緑色が良いのか、赤色が良いのか?」

これを会議で議論しても答えは出ません。A/Bテストツール(Google Optimizeの後継ツールなど)を使い、実際にユーザーに両方見せて、どちらが多くクリックされたかを検証しましょう。

小さな改善の積み重ねが、1年後には大きな成果の差となって現れます。

7. まとめ:運用しやすいWebサイトこそが、最強の営業マンになる

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

「運用しやすいWebサイト」とは、担当者が楽をするためのものではありません。**企業が変化の激しい市場環境に対応し、顧客に対して常に最適な価値を提供し続けるための「最強の武器」**です。

記事のポイントを振り返ります。

 

  1. 設計ファースト: 運用しやすさは、制作前の「CMS選定」「構造設計」で8割決まる。

  2. 仕組み化: テンプレートやカレンダーを活用し、担当者の属人的なスキルに依存しない体制を作る。

  3. E-E-A-T: 独自の経験と専門性をコンテンツに込め、Googleとユーザーの信頼を勝ち取る。

  4. 守りと分析: セキュリティで資産を守り、データに基づいて改善を続ける。

もし、現在お持ちのWebサイトが「運用しにくい」「成果が出ない」と感じているなら、それは担当者であるあなたのせいではなく、サイトの仕組みそのものに課題がある可能性が高いです。

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Webサイトの運用改善やリニューアルに関するご相談は、いつでもお待ちしております。